ねぶた運営団体の優劣を決める審査では、ねぶた本体に加え、運行、ハネト、囃子などを点数化して、その総合点により各賞が決定される。したがって、ねぶた本体が最も高得点でも、他の点数が低ければ「ねぶた大賞」とはならず、昨年や今年のように、ねぶた本体が1位でなくても大賞を受賞するという、逆転現象がしばしばみられる。

 ねぶた本体の点数は100%ねぶた師の力量に依存しているため、ある意味祭りが始まる前に審査結果の予想が付く。それゆえ、上位を狙う団体では運行や囃子に力を入れて、なんとか総合点で勝負しょうとするのである。

 昨年ねぶた大賞を受賞した「サンロード青森」は、2連覇を目指し今年も運行とハネトでトップを取るべく、徹底的に対策を講じてきた。その様子が下の写真である。花笠をかぶって揃いの浴衣を着たハネトが、ロープの中に狭い範囲で取り囲まれ、その周囲ではスタッフが外からハネトが入ってこないように目を光らせている。スタッフもハネトも祭りを楽しんでいる様子はなく、ただ「運行・跳人賞」を獲得するために粛々と隊列を組む異様な光景だった。

 サンロード青森に限らず、一般のハネトが簡単に参加できない団体は、浴衣が統一される自衛隊や青森山田学園など。逆に、ハネトの参入に寛容で、ハネトの数が多い団体は、青森県板金工業組合、に組・東芝、ヤマト運輸、日立連合などで、本来はハネトの自由参加が多い団体に、運行・跳人賞を与えるべきではないのだろうかと思っている。

 囃子賞については日立連合が7年連続で受賞した。ここはお囃子そのものが上手なのに加え統率が取れているので、今後他の団体が受賞するのはなかなか難しいであろう。しかし、日立連合の囃子を沿道の観客が楽しんでいるかといえば、そうとは言えないかも知れない。観客と一体となって祭りを盛り上げるパフォーマンスを見せるのは青森山田学園が一番で、他にも威勢の良い団体がたくさんある。お囃子で、いかに祭りそのものを盛り上げるか努力している団体が囃子賞を受賞すべきであろう。

 以上のように、ハネトの減少を食い止め、観客を増やすための改善策として、まずはねぶた大賞の選考方法を再考すべきであると提案したい。青森ねぶた祭実行委員会には、より柔軟な発想で祭りを発展・継承させていってもらいたいと願っている。

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撮影地:青森市
撮影日:2012年7月31日〜8月6日
撮影機材:NIKON D5000