「ねぶた大賞」はねぶた運行団体に対して贈られる最高賞であり、ねぶたそのものに対しては、別に「最優秀製作者賞」が授与される。今年は「ねぶた大賞」に北村隆氏の『海幸彦 山幸彦』、ヤマト運輸ねぶた実行委員会が選ばれ、最優秀製作者賞には北村蓮明氏の『水滸伝 混江竜・李俊』、パナソニックねぶた会が受賞した。
 ところで、今年出陣したねぶたの中で、すりぶるが気に入ったねぶたは以下の3台である。
 まず、京野和鴻氏の三国志演義「呂布と董卓」、あおもり市民ねぶた実行委員会。ねぶた製作9年で、ねぶた師としては若手の一人に数えられるが、今年のねぶたは造形、色合いともに素晴らしかった。来年はぜひ大賞を目指して欲しいと思う。ただし、この団体はもっとも歴史が浅く、組織力がない。お囃子だけでなく、ハネトも最小限しかいないため、どんなに素晴らしいねぶたを製作しても総合賞に入るのは難しい。こうしたねぶたが大賞を受賞できるよう、ぜひ「ねぶた大賞」はねぶたそのものに授与すべきである。
 次に北村蓮明氏の『水滸伝 混江竜・李俊』、パナソニックねぶた会。この団体は今年から蓮明氏に製作を依頼し、初年度ということで、蓮明氏もかなり力を注ぎ込んだ作品といえよう。
 三番目は竹浪比呂央氏の『天孫降臨 猿田彦』、JRねぶた実行プロジェクト。いかにもねぶたらしいダイナミックな面と三色の使い分けは見応えがあった。
 惜しかったのは、北村隆氏の『碁盤 忠信』、青森山田学園。下絵では碁盤がはっきり描写されているのに、完成品ではそれが目立たなかった。碁石も照明を入れれば、もっと目を引いたと思う。ここのお囃子は、観客を盛り上げようとする精神が一番備わっているので、個人的には囃子賞をあげたい団体だ。

<< 1 >>

撮影地:青森市
撮影日:2010年8月
撮影機材:NIKON D60, NIKON D5000