ねぶたが始まると、ねぶた好きの間で「今年はどこのねぶたがねぶた大賞を取るか」が興味の的となる。北村隆氏製作の青森山田学園が4連覇を獲得するのか、昨年知事賞を獲得した北村蓮明氏の日立連合が雪辱を果たすのか、すりぶるはねぶた本体にほとんど差がない分、運行や囃子に力を入れている日立がわずかにリードすると思っていた。そして蓋を開けてみると、北村蓮明氏のねぶたがねぶた大賞と知事賞のワンツーフィニッシュを飾る結果となった。 蓮明氏のねぶたは細部にまで手の込んだ、緻密で繊細な作りであり、今までもいつ大賞を取ってもおかしくない素晴らしいねぶたを製作してきた。しかし、造形的に見るとダイナミックさが北村隆氏のねぶたに比べるとやや物足りない部分があった。今年はかなり窮屈といわれる4つのお面をバランス良く配置し、特に赤鬼を際立たせたことが大賞につながったと思う。 最近しばらく賞から遠ざかっている千葉作龍氏のねぶたも、今年は構図の素晴らしいねぶたを製作していたので、来年の賞レースへの再参入を期待したいところだ。その一方、内山龍星氏は過去なかなか良いねぶたを製作してきただけに、このところ伸び悩みを感じてしまう。ねぶたの面がバランス的にやや小さめなのと、近づくと覆いかぶさるような立体感が他に比べて希薄な点を改善し、今後の時代を担うねぶた師に育って欲しいと思っている。 |