「ねぶた2008 part3」では夜の合同運行最終日にあたる8月6日の様子を紹介したい。雨で開幕したねぶた祭りも、その後好天に恵まれて日増しに盛り上がりを見せ、結果的には成功裏に終了した。 今年の祭りを振り返ってみると、地元新聞でも取り上げられていたように、ハネトの数が減少し続けていることが目に付いた。雨天時や七日日で少ないのは当然のこととしても、最も盛り上がるはずの8月6日でも、ハネトの少ない団体が結構あったように感じられた。一時期問題となったカラスハネトはすっかり影をひそめ、ねぶたの運行コース内で見かけることはほとんどなくなった。これは、運行方法まで変更したカラスハネト対策が功を奏したといえるだろう。しかし、そうした対策を強化することによって、一般のハネトが自由に参加しにくい雰囲気となり、年々ハネトの数が減少する原因となったのである。また、運行コースにロープを張ることによって観客とハネトの一体感も失われた。 8月5日の夜に発表される「ねぶた大賞」を受賞することは、ねぶた運行団体にとって最も名誉なことである。この賞はねぶた本体に加え、囃子、運行、ハネトのそれぞれを点数化して、総合点で評価される。運行やハネトで高いポイントを獲得するためには、自前のコントロール可能なハネトに揃いの衣装で参加させるのが最も有効で、こうした団体には一般のハネトは事実上参加できない。つまりねぶた大賞を強く意識した団体ほど、ハネトの自由参加が制限されることになるのである。団体によってはハネトをアルバイトで雇い、元気に跳ねさせてポイントアップを図っているという。こうなると、“楽しむための祭り”ではなくなり、“受賞するための祭り”となり、誰のための祭りなのかが問われることになるだろう。 そこで、ねぶた祭りを本来の楽しむ祭りに戻すために、次のような提案をしたい。 まず、「ねぶた大賞」に運行・ハネトのポイントを加えず、純粋にねぶた本体だけの賞にすること。当然、最優秀製作者賞は廃止である。そして、これまでのねぶた大賞に代わる賞として、ねぶた本体のポイントを加えない「最優秀運行団体賞」を創設すること。さらに、団体ごとの衣装を禁止し、どこの団体にも属さない一般のハネトがどの団体でも跳ねられるのを可能とすること。できるならば、ハネトを取り囲むロープを張らない団体が増えて欲しい。 これまでハネトについて述べてきたが、お囃子に小さな子供たちや小学生の参加が増えたのはうれしいと思った。少子化によって子どもや若者の参加者が減少する祭りが多い中、ねぶた祭りが確実に次世代へ受け継がれているのを実感した。 |