津軽西北五地方各地で江戸時代から伝わる「虫おくり」は、イナゴの大群が稲を食い尽くさないよう祈願する伝統行事で、田植えが終わってひと段落着く6月に行われてきた。五所川原市は昭和48年に各地の虫おくりを集約し、五所川原ねぶたと同時期の8月はじめに虫おくりの祭りを開催するようになった。 その後、平成10年、明治の一時期に津軽一帯で運行されていた『立佞武多(たちねぷた)』を五所川原市が復活させたことに伴い、虫おくりは平成12年から本来行われていた6月に開催時期を移行し、名称を『奥津軽虫と火まつり』と改めた。この祭りは、従来の伝統的な虫おくりに「火」の要素を加えて新たな魅力を創出した。 立佞武多はその巨大さから一躍有名となり、わずか10年で青森ねぶたに次ぐ160万人もの人出を記録するほどの祭りに成長した。財政難にあえぐ五所川原市としては立佞武多に集中投資するのは当然のことで、その代償として平成20年に『奥津軽虫と火まつり』への補助金はカットしてしまった。祭りを主催する五所川原商工会議所は、花火の打ち上げを取りやめるなど規模を縮小し、少ない予算で続行させることを決断した。 こうして津軽の奇祭と言われた『奥津軽虫と火まつり』が中止となることは回避された。しかし個人的には、火まつりの厳かな雰囲気と華やかな花火の打ち上げが新興の立佞武多に比べても好みであっただけに、規模の縮小は残念だ。このギャラリーは2年前のにぎやかな祭り風景を回顧しつつまとめてみたのでご覧いただきたい。 |