青森県黒石市は津軽藩の支藩が置かれた歴史ある街で、中心商店街には「こみせ」と呼ばれる木造のアーケードが点在する。造り酒屋や商家など伝統的建造物が立ち並ぶこみせ通りでは、秋と冬の2回、こみせまつりを開催するほか、黒石ねぷたや黒石よされまつりのコースにもなっており、年間を通じて観光客が訪れる。 今回のこみせまつりでは、弘前のよさこいチーム「花嵐桜組」の皆さんが応援に駆けつけてくれた他、「やきそばサミット in 黒石2008」の開催や津軽三味線ライブなど、盛りだくさんが企画されていた。 こみせ通りは日本の道百選に選定され、またこの地区は重要伝統的建造物群保存地区に指定されるなど、江戸時代の東北北部の暮らしを知る上でも重要なエリアである。ところが残念なことに、こみせ通りを歩いてみてもこみせが残されているのは部分的に過ぎず、街並みとしての統一感を欠いているのが現状だ。倉敷市美観地区のようにレトロな街並みを面的に再現できればいいのだが、早期健全化団体に転落して財政破綻一歩手前の黒石市には、そのような余力は残されていない。しかし、黒石市はいで湯が点在し、つゆ焼きそばの知名度が向上するなど、観光的には魅力あふれる土地である。冬のこみせまつりは、通りに雪だるまが並び、秋とは違った風情を楽しむことが出来るので、ぜひ足を運んで欲しいと思う。 |