八甲田山の樹氷が危ない。八甲田山中に点在する湿原の温暖化に起因すると思われる乾燥化や植生の異変は、過去に「異変・八甲田−地球温暖化の現実」や「八甲田ブナ林・食害の実態」でレポートしてきた。今回は厳冬期の最も樹氷が発達する時期にもかかわらず、アオモリトドマツの枝葉が見え、一部氷柱もぶら下がった、ひ弱なモンスター群の姿をご覧いただくとしよう。 2008年後半に始まった世界同時不況によって、それまで叫ばれていた温暖化による全地球的危機意識はすっかり人々の脳裏から忘れ去られ、もっぱらいかに消費を促すかだけが叫ばれはじめた。しかし身近な自然である八甲田山の近年の変化をみると、もはや温暖化は不可逆的に進行し続けていることを実感せざるを得ない。世界の遺産と言っても良いこの圧倒的な自然の造形美を、ただ「綺麗だ!」で終わらせず、今に生きる人々がどのようにしてこの豊かな自然を守り、後世に感動を伝えていくべきなのかについて、今後議論が高まっていくことが望まれる。 |