太宰のふるさと青森県五所川原市金木地区。ここは太宰治が幼少時代育った土地として、そして、冬になると日本海から吹き付ける強風が津軽平野に積もる雪を巻き上げて、強烈な地吹雪が舞うことでも有名だ。地吹雪はドライバーにとって交通の障害となるばかりでなく、道行く人からも体温も奪い去る。このような厄介者扱いの地吹雪を逆手にとって観光に結びつけようと考えたのが、津軽地吹雪会会長で観光カリスマの角田周さんだ。20年前に始まった地吹雪体験ツアーも、今では津軽の冬の風物詩としてすっかり定着したが、昨年度は暖冬のため雪が降らずツアーを中止したという。 かつては団体客が多かった国内旅行であるが、近年では個人客が増加しており、観光客を受け入れる側も個人客のニーズの多様化に対応するため様々な工夫を凝らしている。地吹雪体験ツアーもこうした時代の変化に即応し、少人数でも地吹雪体験ができるよう、新たにガイドが付かない「気ままに地吹雪体験」とガイドが付く「地吹雪トレッキング」を今年から開始した(詳しくはこちらをご参照のこと)。今回、角田さんのご厚意で新企画の地吹雪トレッキングに参加したので、その様子をご覧いただきたい。 同行しての感想だが、バスによる団体行動と違ってガイド役の角田さんのお話を聞くことができ、また住宅地を歩いて移動することで雪国の暮らしを実体験できる、とても良い企画だと思った。ただし、この企画は昨年の中止にあるように気象の影響をまともに受けるのが問題だ。温暖化が進むこれからは、ますます地吹雪を期待できなくなるであろう。そこで今後は、たとえば雪上運動会や犬ゾリレース参加などのゲーム性を加味して、地吹雪という特殊な天候に左右されず、地元からの参加者と一体となった新たな地吹雪体験に展開させてはいかがであろうか。 |