検証−平泉・世界遺産への道

 平安時代末期、奥州藤原氏四代が築き上げた黄金文化遺跡群は、2001年、「平泉−浄土思想を基調とする文化的景観」(岩手県平泉町、奥州市、一関市)としてわが国の世界遺産暫定リストに登載された。しかし、2008年に行われた世界遺産委員会の審議では、「限りなく不登録に近い登録延期」の決定がなされた。
 登録延期の理由として、「浄土思想」のコンセプトが難解であったことや、記載された9ヶ所の遺跡の関連が充分に証明されていないこと、また候補地周辺の景観が文化的に一体感が無い点などが挙げられた。
 これを受けて、遺産の範囲を藤原氏四代に関与する遺跡群6ヶ所に限定した上で、2010年に再度推薦書が提出された。今後、国際記念物遺跡会議(イコモス)による再調査が行われた後、2011年に最終決定がなされる予定である。
 すりぶるはこれまで中尊寺金色堂を何度か訪れ、その歴史的、文化的価値を充分に認識していたのだが、果たして世界遺産として登録されるかを検証すべく、平泉に向かったのである。

藤原清衡・基衡の屋敷跡と伝えられる柳之御所遺跡。平泉バイパスを通り、まず最初に到着したのがここである。平泉バイパスは2008年に開通したばかりの道幅の広いゆったりとした道路で、並行して北上川が流れ、周辺は大規模な堤防工事がなされている最中だった(この地は小沢一郎氏の選挙区である)。柳之御所遺跡からは多数の埋蔵文化財が発掘されているが、現在は芝生に覆われ、さながら造成中の大規模ニュータウンの公園のようだった。

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撮影地:岩手県平泉町
撮影機材:NIKON D5000, 18-200mm