キリストの村のクリスマス

 青森県新郷村にはいくつかのパワースポットが存在するが、その中で最も有名なのが「キリストの墓」であろう。キリストが磔になるのを避けて新郷村に逃げ延びたという話は、別段この地に伝わる伝説というわけではなく、茨城県北茨城市にある古神道の神社「皇祖皇太神宮」において、竹内文書なる古文書に記載されていたらしい内容だ。この竹内文書も第二次大戦で消失し、詳しい検証がなされないまま今では偽書扱いとなっている。
 キリストが本当に日本にやってきたかについては深く考えないことにするとして、この地が昔は戸来村(へらい)と言われ、ヘブライから来た名称であるとされる点や、風俗、習慣にヘブライを思わせるものが残されている点が興味深い。これらのことから、キリスト教関係者がこの地に布教にやってきたとか、南部藩の弾圧を逃れるために隠れキリシタンが住み着いたとか、さまざまなことが想像できる。
 いにしえの話はさておき、新郷村ではキリストの墓にあやかり、クリスマスシーズンになると商店の前にツリーを置いたり民家をイルミネーションで飾ったりと、小さな村がカラフルな光に包まれる。場所柄、大々的に観光客を呼ぼうとするものではないが、なんとなく気持ちが温かくなるクリスマスの夜をご覧いただくとしよう。

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撮影地:青森県新郷村
撮影日:2006年12月17日
撮影機材:OLYMPUS E-500